鬼部長に溺愛されてます

ほんの少しの間でも一緒にいられるのなら……という不純な動機が私にあることは確かだ。

気難しい顔をしてしばらく考え込んでいた桐島部長が、その表情を緩める。


「それじゃ……悪いが頼む」


口元には形式的な笑みが浮かんだ。

やった!

密かに心の中でガッツポーズをしてしまった。

桐島部長が言うには、その文書は薄いブルーのクリアファイルに入れられているという。
彼によると、その書類を持ったまま方々の部署での用事を済ませているうちに、気づいたときには手元に残っていなかったということだった。
総務部にまで足を延ばしてきたのは、そういうわけだったのだ。

ブルーのクリアファイルを探して、一人ひとりの机の上を念入りに探していく。
書類が乱雑に置かれたキャビネットやゴミ箱、悪いとは思いつつ、みんなの机の引き出しまで。
しかし、どこを探してもそんなものは出てこなかった。

総務部にはなさそうだ。
諦めて総務部を出ると、ちょうど向かいの経理部から部長が出てくるところだった。

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