鬼部長に溺愛されてます
名残惜しいその手があっさりと離れ、書類を見つけたことで部長との時間も終わりを迎える。
「それじゃ部長、私はこれで……。お先に失礼します」
頭を下げて背を向けると、「待て、水原」と部長の声が追いかけてきた。
「ちょっと遅くなったが、これから少し時間あるか?」
……これから時間?
いったいどうしたんだろう。
「他になにか探しものですか?」
目を丸くする私に、部長がフッと口元を緩ませる。
ちょっと笑っただけなのに、それだけで胸の奥がキュッと掴まれた。
「いや、そうじゃない。……腹減らないか?」
え? 部長と一緒にご飯……?
思いがけない人からの突然の誘いが、私の心拍数をさらに上げていく。
ふたりの時間が延長できるのなら、私にとっては願ったり。