鬼部長に溺愛されてます

いろいろってなんだろう……?


「麻耶ちゃん、そのメガネはね、健人自身を守る大切なアイテムなのよ」


不思議がる私に答えを用意してくれたのは早苗さんだった。
でも、あまりにも漠然とし過ぎていて、ますますわからなくなる。

……部長を守る大切なアイテム?


「早苗さん、余計なことは言わないでくれ」


即座に桐島部長が口を挟む。


「あら、いいじゃない。そんな堅いこと言わなくたって」

「そういう問題じゃないんだ」

「じゃ、どういう問題なの?」


ふたりはカウンターを挟んで軽く言い合いを始めてしまった。
口調はいつもと変わらないけれど、早苗さんと話す表情は会社で見る部長とは明らかに違う。表情は穏やかだし、笑顔まで浮かべている。
そんなふうに接してもらえる早苗さんを羨ましく思う気持ちがないと言ったら嘘になるけれど、おこぼれ的に私にも見せてくれるのなら、それだけでもちょっと得した気分になれる。

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