鬼部長に溺愛されてます

「でね、麻耶」


ミオリはイチゴの器を膝に置き、私へと向き直る。


「誠吾は今日、先輩の結婚式に参列してるって話したでしょ?」

「うん、それがどうかしたの?」


切り返してからイチゴをひとつ口に運ぶ。


「麻耶がその気になればの話だけど、その二次会に参加する誠吾の友達を麻耶に紹介しようかって」


ミオリがとんでもないことを言いだした。


「――そ、そんなのいいから!」


口をモゴモゴとさせながら首を横に振る。
桐島部長以外の誰を紹介されたって、付き合うつもりはまったくない。

まぁ、桐島部長の彼女になれることはこの分だと一生ないのだけど……。
となると私は、彼への想いを断ち切れないまま生涯独身を貫くことになるのかな。
それはそれでちょっと寂しい気がしなくもない。

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