鬼部長に溺愛されてます
「それなら心配しないで」
ミオリは待っていましたとばかりに弾みをつけて立ち上がり、奥の部屋へと入っていった。
そして戻った彼女が手にしていたのは、総レース刺繍が施されたピンクのパーティードレスだった。
「麻耶にこれを貸してあげる」
そんなドレスがサッとすぐに出てくるのは、さすが社長令嬢のミオリだ。
そうして私たちは揃って着替えを済ませ、誠吾のいるホテルへと向かうことになった。
結局、ミオリの提案を受け入れた形だ。
事前にSNSでメッセージを送っていたらしく、誠吾は私たちをエントランスで出迎えてくれた。
「ミオリ、めちゃくちゃかわいいな」
彼女の元に駆け寄った誠吾が鼻の下を伸ばす。私のことはきっと見えていないだろう。
しばらくふたりのイチャイチャぶりにあてられてから、私たちは二次会が行われている会場へ向かった。
立食形式の二次会はすでにスタートしているらしく、あちらこちらで思い思いに食べ物や飲み物を手にしながら賑やかな声があがっている。