鬼部長に溺愛されてます
「麻耶、こっちこっち」
ミオリと手をつないで歩く誠吾が振り返って私を手招きする。
ふたりの元へいくと、「俺の大学時代の友人」と誠吾が右手で指した。
「間中真一(まなか しんいち)です」
そう名乗ったのは、背が高く面差しの柔らかい爽やかなイケメンだった。
「水原麻耶です」
私も自己紹介して頭を下げると、間中さんが人の良さそうな笑みを浮かべる。
四人で近くに並んだ椅子に移動し、誠吾と間中さんは飲み物を取りにいってくれた。
「麻耶、今の人どう?」
ミオリがウキウキしながら私に尋ねる。
「どうって言われても……」
会った直後でなんとも答えられない。まだ会話すらないというのに。