鬼部長に溺愛されてます
「なんでもね、間中くんが彼女を作りたがっていたから、少し前に誠吾が麻耶の写真を見せたんだって。そしたら彼、麻耶のことをひと目で気に入っちゃったらしくて」
「そ、そうだったんだ……」
事前にそんなやり取りがあったとは思いもしなかった。
「だから麻耶も前向きに考えてみてよ」
「……うん」
そうは答えたものの、どうしたって乗り気にはなれない。
ミオリの勢いに押されてここまで来てしまったけれど、彼氏を作る気には依然としてなれないのだ。桐島部長以外の人は、どうしたって考えられない。
人知れずため息を吐いていると、誠吾と間中さんがそれぞれ両手にワイングラスを持って戻った。
「真一と麻耶の前途を祝して乾杯!」
誠吾がそう言って笑うと、間中さんは照れたようにして私にグラスを合わせた。
「それじゃ、後はふたりで仲良くやれよ」
「えっ……」