鬼部長に溺愛されてます

「なんでもね、間中くんが彼女を作りたがっていたから、少し前に誠吾が麻耶の写真を見せたんだって。そしたら彼、麻耶のことをひと目で気に入っちゃったらしくて」

「そ、そうだったんだ……」


事前にそんなやり取りがあったとは思いもしなかった。


「だから麻耶も前向きに考えてみてよ」

「……うん」


そうは答えたものの、どうしたって乗り気にはなれない。
ミオリの勢いに押されてここまで来てしまったけれど、彼氏を作る気には依然としてなれないのだ。桐島部長以外の人は、どうしたって考えられない。

人知れずため息を吐いていると、誠吾と間中さんがそれぞれ両手にワイングラスを持って戻った。


「真一と麻耶の前途を祝して乾杯!」


誠吾がそう言って笑うと、間中さんは照れたようにして私にグラスを合わせた。


「それじゃ、後はふたりで仲良くやれよ」

「えっ……」

< 51 / 132 >

この作品をシェア

pagetop