鬼部長に溺愛されてます

「実は部屋を取ってあるんだ」

「……行きません」


首を思い切り横に振る。


「麻耶ちゃんが心配しているようなことをするつもりで部屋を取ったわけじゃないんだ。もともと今夜はここに泊まる予定だったから」


そうは言うけれど、だからといって行く理由にはならない。


「ごめんなさい、行けません」

「麻耶ちゃんが嫌がるようなことは絶対にしないって約束するから」


一心に首を横に振って拒絶を表す。

誠吾! ミオリ!

心の中で助けを求めたときだった。


「水原?」


聞き覚えのある声を掛けられ、瞬間的に頭の中がパニックになる。
その声の方へ振り返ると、そこにはなんと桐島部長が立っていた。

< 54 / 132 >

この作品をシェア

pagetop