鬼部長に溺愛されてます

「桐島部長!」


思わぬ救世主の登場が一瞬のうちに私から不安を拭い去っていく。


「……どうしたんだ」


間中さんに無理やり手を掴まれているのが私の様子からわかったのか、桐島部長の表情が険しくなる。


「彼女、嫌がっているように見えますが」


私の名前を呼んだときより桐島部長の声のトーンが数段低くなる。


「そんなことはないですよ。ね、麻耶ちゃん」


間中さんに聞かれてうなずけるわけもない。
ただ黙って首を横に振り、助けてほしいと桐島部長に目でサインを送る。

すると部長は「申し訳ありませんが、彼女は私の大切な部下ですので預からせていただきます」と間中さんから私を引き離した。
桐島部長と間中さんがしばらくにらみ合う中、私は部長の背中に隠れる。


「……好きにしてくれ」

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