鬼部長に溺愛されてます
間中さんのことは、すっかり頭から消えていたのだ。間中さんから誠吾に報告でもあったのかもしれない。
『真一から聞いたよ。アイツ、麻耶を部屋に連れ込もうとしたんだって?』
「あ、うん……」
『ったく、なんでそんなことしたんだって怒っておいたからさ。で、大丈夫か?』
「平気だよ。心配してくれてありがと」
受け答えしながら電気を点け、バッグをテーブルに置く。
『うちの会社の人間が間に入ったって真一が言ってたけど誰だったんだ? 上司っぽかったって言ってたから総務部長か?』
「……あーうん、そう……だね」
『なんだよ歯切れが悪いな。ともかく本当にごめん。真一も悪気があったわけじゃないんだ。ただちょっと焦った行動を取っただけで。アイツも猛省してるから』
「わかってる。本当にありがとね。ミオリにも心配しないでって伝えてね」
誠吾だって、私に変な人は紹介しないだろうから。本当にたまたま先走ってしまっただけなのだろう。
何度も謝るふたりに「本当に大丈夫。おやすみ」と電話を切った。