鬼部長に溺愛されてます
「このメール、社内のメールアドレス全部に送信されてるよ」
「発信者は誰?」
「それがね……」
ミオリが言い淀む。
自分で確認した私は絶句してしまった。私が送信者になっていたのだ。
送信日時は昨日。
一体どういうこと?
日曜日にわざわざ会社へきて、私のパソコンから送信したの?
「送信者を特定させないために麻耶のパソコンから送ったのね、きっと」
誰がなんのために?
今、桐島部長はどうしてるだろう。
いてもたってもいられなくなり席を立った。
人事部のフロアへ向かうと早足で通路を歩く彼の姿を見つけ、その背中に声を掛ける。
「部長! 桐島部長!」
桐島部長は振り返らずに、そのままピタリと足を止める。私を拒むような、どことなく不穏な空気を感じるような後ろ姿だった。