鬼部長に溺愛されてます
誠吾がため息交じりに言う。
さすがはミオリだ。総務部にくる前の二年間人事部にいただけのことはあって、その辺りの事情には詳しいらしい。
部長の席を狙うだけじゃなく、彼女を異動させられた恨みまで持っていたとは。
中谷マネジャーに見られていなかったというのは、私の勝手な思い込みだったのかもしれない。
「中谷マネジャーがずっと張っていたってこと?」
「そうとしか思えない。実はね、ここへくる前に警備室に寄って、日曜日に誰が出勤していたか確かめてきたの」
ミオリの行動力には脱帽してしまう。
思わず人ごとのように感嘆のため息を洩らしてしまった。
「その中に中谷マネジャーの名前があったよ。異動前は情報システム部にいたから、麻耶のパソコンのパスワードも簡単に探れたんだね」
「ビンゴだな」
「でも、どうする? あんな写真が出回っちゃった以上、全部を否定することは難しいよ」
ミオリも誠吾も腕を組んで考え込んだ。