鬼部長に溺愛されてます

事実はまったく違うのだから、このままなにもせずに見過ごすわけにはいかない。
部長と私は、なんの関係もない。
私があのとき部長を引き留めなければ、こんなことにはならなかったはず。あの場へタクシーを呼ぶことだってできたのだから。
部長と離れたくなくて自分の気持ちを優先したがゆえだ。
一〇〇パーセント、私が引き起こした事態だ。


「とにかく、中谷マネジャーに会ってくる」


彼の説得が第一だ。
きっと事実を話せば、わかってくれるだろう。


「今から!? それじゃ、私も一緒に行く」


腰を浮かせたミオリを「私ひとりで大丈夫」と制する。


「え、でも――」


ミオリの引き留める言葉も待たずに私は居酒屋を飛びだした。

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