鬼部長に溺愛されてます
◇◇◇
インターフォン越しに「聞きたいことがある」と強気に告げた私を、中谷マネジャーは素直に部屋へとあげてくれた。
まるで私がここへくることがわかっていたかのような落ち着いた態度だ。
1LDKの部屋のリビングへと通され、緊張とともにソファの隅へと腰を下ろした。
「あのメールを送ったのは中谷マネジャーですか?」
「……よくわかったね」
意外にもあっさり認められて、逆に拍子抜けしてしまう。
ソファに深く座り直し、彼は私をじっと見据えた。
ミオリの言っていたことは正しかったのだ。
ただ、簡単に認めたとは言え、その目はとても冷ややかだった。
「あれは誤解なんです。部長と私はそういう関係じゃありません」
怯んでしまいそうになる視線をなんとか跳ね除け、強気な態度を貫く。
きっと、彼だって真相を理解してくれる。
ところが、ことを簡単に考えていた私に告げられたのは、期待を裏切るものだった。
「だからなに?」