鬼部長に溺愛されてます

「社内恋愛禁止だという規則を作ったのは俺だ。その責任者がああいう事態を引き起こしたこと自体、処分を受けるべきだ」

「社内恋愛禁止だなんて、そんな規則どうして……」


そもそもそんなものがあるから、簡単なことも複雑になってしまうのに。


「社長命令だ」

「どうして社長が?」

「社長令嬢に近づく男を遠ざけるため」


……社長令嬢?
そんな人が社内にいるの?
そんな話、今まで一度も聞いたことがない。

初めて聞く突拍子もない理由に、私はただ困惑するばかりだった。


「俺ももう人事から外れたし、水原には話してもいいだろう。如月だ。彼女はうちの社長の娘だ」

「――え!? ミオリが!?」


とんでもないことを聞かされ、部長から一歩飛び退くようになる。


「で、でも名字が……」

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