鬼部長に溺愛されてます
お相手は言わずと知れた誠吾だ。
ミオリは私と桐島さんの一件で、自分の父親である社長が娘かわいさに社内恋愛を禁止していたことを知り、実は誠吾と付き合っていると父親に暴露。
それが社長の逆鱗に触れ、いっときは駆け落ちにまで発展してしまったけれど、最後には社長が折れることで事態は収束へと向かった。
社内恋愛を禁止しようが、人の心までは縛れないということだ。
そういうわけで社内恋愛禁止令は廃止されて自由に恋愛ができるようになり、社内の雰囲気は心なしか以前より明るくなった気がする。
「ごめん、ミオリ、待たせたな」
誠吾がおにぎりとお茶を手にテーブルへやってきた。
社長からミオリとの結婚の許しは得たものの、今のままの平社員では他の社員に示しがつかないからと、誠吾はこのところさまざまな研修へ行ったり、仕事に厳しいといわれる上長の下に就いていろんなことを学んでいる最中だ。十一月末には結婚式も控えているから、本当に大忙しだろう。
誠吾はおにぎりのフィルムを剥がして早速かぶりつき、「そういえば麻耶」と口をもごもごさせながら私を見た。
「桐島さんがいたぞ」