鬼部長に溺愛されてます

◇◇◇

二度目になるラウンジからの眺めは、今夜も素晴らしいものだった。
奇跡的に前回と同じ窓辺のカウンター席が空いていて、そこに座って桐島さんを待つことにした。

腕時計を見てみれば、約束の時間まであと十分。もうすぐ彼に会えるのかと思うとソワソワして落ち着かない。

ラウンジの入口と腕時計の間に何度も視線を行き来させ、今か今かと胸を高鳴らせていると、彼が現れたのは、約束の時間を数分過ぎた頃だった。
その顔を見て鼓動がひとつ大きく跳ねる。


「待たせて悪かったな。……ここ、前と同じ席か」

「そうなんです」


桐島さんも覚えていてくれたことが嬉しい。
前回同様に私はオレンジブロッサム、桐島さんはジンライムで乾杯をした。


「お疲れさまでした。お仕事、大丈夫だったんですか?」


出張先でもこんな時間まで拘束されるなんて大変だ。こうして会えるのは嬉しいけれど、今朝も早く出てきたと言っていたから、桐島さんの身体を考れば早く解放してあげた方がいいのかもしれない。

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