鬼部長に溺愛されてます

言われて思い出した。
どことなく体調が優れないように見えた日があって、それから毎日のようにそんなひと言コメントを書いていたっけ。


「麻耶のそのコメントに毎日励まされていたんだ」

「……本当ですか?」

「思えば、その頃から麻耶のことを好きだったのかもしれない」

「えっ……」


思いもしないことだった。
“好き”という直接的な言葉を言われたこと自体も初めてで、その瞬間、頭の中がかく乱されると同時に心拍が異常な速さで刻まれていく。

桐島さんがそんなに前から私のことを……?

ゆっくり私へと向けられた視線は、これまで見たことのないほど優しいものだった。


「麻耶、ありがとう」

「や、やだ、やめてください、桐島さん……!」


改まってお礼を言われるようなことじゃない。

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