【完】姐さん!!
まさか学校抜け出してるとは思わなかった。
学校にもいない、霧夏のメンツは学校に行ってないヤツやらサボりがいるから連絡しても、たまり場には来てない。
おかげで俺がどれだけ探したか。
何かあったらって本気で心配したのに、偶然通り掛かったファミレスの前でなるみを見掛けたときのあの衝撃。
……ほんとにもう、俺を振り回すのはなるみだけだよ。
基本的に女に振り回されないで生きていきたいはずが、気づけばなるみにこんなにも振り回されてる。
「目黒ってさー」
……なんかすげえフレンドリーだな。
俺も深いことは気にするタイプじゃねえけど、あきらかにほぼ初対面の距離じゃない。
「……なに?」
夕飯を終えてご機嫌にデザートを注文した舞ちゃんが、プリンを口に運ぶ。
うれしそうにほころぶその表情を見て、美味しいんだろうなと笑った。
「あいつと付き合ってねーの?」
「なるみから聞いてねえの?」
「……いや、聞いてるけど」
知ってんじゃねえか。
まあたしかに、俺らの距離感は付き合ってなきゃおかしいぐらい近いけど。主に俺が強引に距離を詰めてるからで、だからこそ心配になる。
あれが普通だと思ってるなるみの男関係が。
俺だって極力離れないようにはしてるけど、ツキのことと言い、なるみは男との距離感を本当にわかってない。
「……衣沙くんって。
なるちゃんのこと好きなんだよね?」
こてんと首をかしげて聞いてくるのは、懍で。
改めて名前を聞くのもはじめてなのに、なんで一緒に飯食ってんだろ俺。