【完】姐さん!!
「ねえ、勢川さん」
「ハイハイなんですか粟田さん」
「……わたしとキスできる?」
ぴたり。
動きが止まったかと思うと、今度ははあっと潔すぎるほどに大きいため息をつくニナくん。
「お前さ、マジでそういうの良くねーと思う。
俺だからいいけど、男に軽々しく聞くなよ」
「……その心は?」
「勘違いされっから。
お前一応美人なんだし、男は遠まわしな発言を勝手に意味深にとらえたりすんだよ。わざと意味深に言うならまだしも、その気がないならやめとけ」
……へえ。そういうものなのか。
まあでも、女の子も、好きな人の一言で一喜一憂するんだから、その気持ちはわからなくもない。
「あ、そういえばいまさらっと言ったけど。
わたしのこと美人だと思ってくれてるのよね?ありがとうニナくん」
「お前たまにうざい時あるよな」
「うん、なるせ……弟にも言われる」
「せめてなおす努力をしろよ」
衣沙ともよくこういうやり取りをしてたような気がする。
そういう、何でもない会話が好きだったんだけど。
2年になってから、なんとなく、ギクシャクしてることが多い。
……あ、ちがう。あれだ、衣那くんが結婚するって話が出た後からだ。