【完】姐さん!!
だって言えなくなる。
衣沙のことが好きだって、言えなくなる。
「……ごめんなるみ」
「な、んで、謝るの」
じわっと、涙が滲んでくる。
……ああもう、わたしの馬鹿。
なんでここに来た時、すぐに気分害しちゃったの。
会ってすぐ、衣沙が何をしてようと、勢いそのままに告白すればよかったのに。
「だって……俺がなるみのこと好きだから」
だったら今頃衣沙の気持ちもちゃんと聞け……
うん? いまなんて言った?
「嘘つくの、もうやめる。
……好きだからちゃんと振り向いて欲しいし」
「衣、沙……?」
「ごめんずっと黙ってて。
俺がいままで満月ちゃんのこと好きだって言ってた嘘も、付き合うフリしてたのも、全部なるみのこと好きだったのが原因」
あれ……?
「……正直に話すなら、彼女だって言い張ってたのは、俺が別の男になるみのこと取られたくなかったっていうわがまま。
もういいや。本当はなるみが振り向いてくれるまで黙ってようと思ってたけど、今日みたいにほいほい男についていかれたら困る」
わたし、告白しにきたわよね……?
あれ、なんか、告白……されてるんですけど。
「気長に待つから返事はいつでもいいよ。
……で、なるみの話って何? なんか不穏な匂いがしたから、先に告っといて繋ぎ止めようとしてるっていう卑怯な手使ってるけど」