【完】姐さん!!
見当違いもいいとこ過ぎる。
不穏な匂いがしたなら、衣沙のそのセンサーはもはや壊れてるとしか言いようがない。
「あー、もう、ばか……っ」
だめだ。油断したら泣けてきた。
「え!?」って衣沙が驚いた顔してるけど、一体誰のせいだと思ってるんだ。
まっすぐに、好きだって言ってくれた。
どれだけそれが嬉しいのか、衣沙は何もわかってない。……ほんとうに、かっこよかったのに。
「ちょ、なるみ……?
ごめっ……なんか俺、傷つくこと言った……?」
「わかってないの……?」
衣沙のそんな困ったような顔も、できれば独り占めできないだろうか。
……だって。そんな素直な反応を見せる衣沙を知ったら、好きになる女の子が増えちゃうでしょ?
「……好きって、言いに来たの」
「は……?」
「だから、好きだって言いに来たの!
まさか衣沙に先越されるとは思わなかったけど!」
口調が強くなるのもゆるしてほしい。
わたしだっていま気持ちがふわふわしてて、それどころじゃないんだから。
「え……?」
唖然。
その言葉がよく似合うくらい、完全にフリーズしてる衣沙。
「え? は……?」