【完】姐さん!!
何度も「え?」って口に出してるし、相当パニックを起こしてるらしい。
基本的に衣沙は余裕げな顔をしているから、なんとなくレアな気もする。……そんな顔も、好きだけど。
「だから。……好きだって言ってるの」
衣沙の顔を覗き込んで。
今日だけは積極的になろうって、抱きついてみる。
「……っ」
「衣沙、顔真っ赤」
「だ、れのせいだと……
ほんとに? ドッキリならタチ悪いよ?」
「なんでドッキリ仕掛けなくちゃなんないの」
ふう、と。
これ見よがしにため息をついてみたら、衣沙の手がそろりとわたしの背中に回る。抱きしめ合うなんていまさらなのに、すごくすごく遠慮がちで。
「……すげえうれしい」
耳元で噛み締めるみたいにつぶやかれた一言があまりにも切実で、また泣きそうになる。
……わたしだって、ほんとに、うれしいのに。
「衣沙……そんな顔しないでよ」
「なるみのせいだし」
衣沙の方がよっぽど泣きそうな顔をしてるから、その頬を両手で包んだ。
目を細めた衣沙が、わたしの手にさらに自分の手を添えて。
「……キスしていい?」