【完】姐さん!!
聞いてくれた理由なんて、誰よりもわたしが知ってる。
正直気恥ずかしいけど、自分から仕掛けたキスのことを考えたらそんなの大したことなくて、うなずいてみせた。
「……好きだよ、なるみ」
「っ、」
ささやくように言って、そっとキスされる。
目は閉じたけど、わたしの頭の中もパニックだ。
「……ちゃんと、彼女になってくれる?」
「……ちゃんと、彼女にしてくれるの?」
恥ずかしさをかき消すように、同じ言葉で返す。
わたしが知らぬ間のファーストキスをふくめて、今日で3度目のキス。相手はいつも、衣沙だ。
「ん、彼女になって」
「……うん」
「まったりしよー。なんかすげえ気抜けた」
わたしを抱きしめたまま、衣沙がソファにもたれかかる。
いつも通りの衣沙の匂いがして、なんだか安心した。……ちょっと女の人の香水みたいな匂いもするけど。
「いつからわたしのこと好きでいてくれたの……?」
わたしのこと好きでいてくれてるんじゃ?って。
そう思った時から、ずっと疑問だったこと。
尋ねてみたら、衣沙は「いつだと思う?」なんて。
意地悪に笑ってみせるけど、なんだか普段より幾分優しく見えるのは気のせいだろうか。