【完】姐さん!!



とりあえずニナくんと会ってたことを話したら、衣沙は不機嫌そうに顔を歪める。

せっかくの綺麗な顔が台無しだからやめてほしい。



「あいつさー……

絶対なるみのこと狙ってると思うんだよねえ」



「そんなことないから。

むしろ今日も頑張ってこいって送り出してくれたんだもの。すごくいい人だと思うけど」



「そう言いながら流兄に告白されたの誰だっけ」



うん、わたしですよね。

あれは本当に予想外だった。まさか流くんがわたしのこと好きでいてくれてるなんて知らなかったから、びっくりした。連絡も取ってなかったし。



「基本的にさ、なるみって男との距離感間違ってんだよね。

まあ俺がわざと距離詰めてたから仕方ないんだろうけど、とりあえずなるみは男を信用しすぎ」



だってみんな優しいんだもん……

優しくしてくれてるのに警戒したら失礼だと思う。そもそも警戒するほど何もないし。




「……別にいいけど、無防備でも。

いままでと違って、彼氏として牽制できるし」



「………」



「その真顔が意味するのは何かな、なるちゃん」



「いや、なんか……

彼氏って言われたら恥ずかしいなと思って……」



「その発言俺が恥ずいからやめて」



衣沙の彼女って言われるのは全然良いんだけど、あらためて衣沙がわたしの彼氏だって思ったら、なんていうか……どきどき、するし。

いまだって抱きしめてくれてるけど、もうその背中に腕を回すのに、ためらう必要もない。



「流くんには、ちゃんとごめんなさいって言った。

あと……さおのことなんだけど、」



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