【完】姐さん!!



どうやらお怒りポイントだったらしい。

機嫌を損ねた衣沙に「ごめんね?」って謝ったら、ぎゅうっと強く抱きしめられる。



「……言っとくけど俺結構やきもち妬くから」



「うん」



「でも……ちゃんと、大事にする」



「わたしも、妬いちゃうから……

あんまり女の子と仲良くするの、やだ……」



「ん。気をつけるから。

嫌な思いしたら、俺にぜんぶ言ってくれて良いよ」



そっとなだめられて、小さくうなずく。

背中に腕を回して、しばらく何をするでもなく、ぎゅっと抱きしめ合ったままで。




「衣沙って……いい彼氏になりそう」



身じろぎしたら、衣沙の手がわたしの頭を撫でた。

いつの間にか体格に差もできちゃったけど、こういう優しいところは昔から変わらない。



ずっとわたしの手を引いてくれていたのは衣沙で。

その手を、もう離したくはない。……ううん、絶対に離さないでいよう。あっけなく離れるほど、軽い気持ちじゃないの。



「いい彼氏かどうかはさておき……

片想い歴12年ナメんなよ?」



「え、」



「ずっと好きだったよ、俺は。

言っとくけど、なるみと違ってこっちは初恋引きずってんの」



だから責任取れよ?って。

また意地悪に笑った衣沙が、言葉とは裏腹に、心底優しくわたしにキスを落とした。



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