【完】姐さん!!
11 ◆ ハッピースペシャルデー
◆
先に言っておく。
なるみは世界一かわいいって、俺は本気で思ってる。
「ねえ、衣沙」
くいくい、と。
俺とつないだ手を軽く引くなるみに視線を向ける。何もしてなくてもかわいすぎて、ほんとにひとりで歩かせたくねえもんな。誘拐とかされたりしねえか不安だもんな。
「昨日朝起きたらおはようより先に、なるせから『おめでと』って言われたんだけど……
もしかしてわざわざ付き合ったこと言ったの?」
「嫌だった?」
「べつにそうじゃないけど……」
ちょっと恥ずかしかった、って。
視線を逸らすなるみ。……ああもうかわいい。
「あのあと、衣那くんと満月ちゃんからも連絡あったし……
みんなちょっと大袈裟すぎない……?」
「……俺がずっとなるみのこと好きだったって、
みんな知ってるからなんじゃねえの?」
流兄にも一応連絡したけど、なるみのこと好きなんだっけ?って思うくらいあっさり「おめでとう」って言われたし。
「むしろなんで付き合ってないんだろうと思ってたよ」とお馴染みのセリフまで言われた。
「……もう、なんなの?
一昨日はフリーズしてたくせに平然としちゃって。びっくりするぐらい照れないし」
「振り切れただけだよ。
自分の気持ち隠すこともなくなったし、なるみの気持ちも分かってるから。……まあ、若干、いまだに浮かれてるけど」
合法的になるみに「好き」と「かわいい」を言えるこの世界しあわせすぎない?
って、なるせに言ったらドン引きされたけど。
今の俺はそんなことじゃ折れません。