【完】姐さん!!
いくらなんでもそこまで軽くねえわ。
冗談ならともかく、実の兄貴に本気で節操なしだと思われてんなら俺泣くよ?
「へえ。何日我慢できるんだろうね」
「なんで日にち単位なんだよ」
「え? だって数ヶ月も無理でしょ?」
「ごめん兄貴、本気でそう思ってんの?
冗談で言ってる? 真顔だけどどっち?」
本気でそう思われてんだとしたら、なるみの両親からの信頼も何もない気がする。
急に真剣に問う俺に、兄貴は「さあ?」って楽しげに笑ってみせるけど。やめてまじで。
……タチ悪い。
っていうかやっぱり、すげえ性格悪いじゃん。
「満月ちゃんに嫌われればいいのに……」
「ふぅん?
衣沙がなるみに嫌われたらいいのに」
「すみませんでしたやめてください……」
付き合って数日でまだ抜けきってない嬉しさを潰しにかかるのやめて。
俺メンタルそこまで強くないから。なるみに「嫌い」って言われたらマジでちょっと泣けるから。
「……でも俺意外だったんだけどさ、」
もくもくと。
ひとりのんきにお菓子を食べていたなるせが、顔を上げて俺を見る。
なるみとは、姉弟といってもやっぱり似てなくて。
俺と兄貴は似てるって言われるけど兄貴の方が男っぽい顔のつくりだし、俺はどちらともいえない中性的だってなるみにも言われる。その俺よりも、さらになるせの方が女性に近い顔立ちで。