【完】姐さん!!
「……ふふっ」
「かわいい顔するなよ」
「だってうれしくなっちゃって」
指摘されても、えへへとほころんだままの頬。
次に歩いて向かった先はどうやらふたつめの名物であるハート型の泡を出すイルカがいる場所だったようで。
ふたたび薄暗い場所から、一度屋根のある外に出る。
時間になればイルカショーも行われるらしいそこは、人気だから賑わっていて。
アザラシを見てる時はタイミングが良かったんだな、と。
ぼんやり思っていたら、衣沙が人の波に押されたりしないように、そっと自分の方へ抱き寄せてくれる。
それだけでうれしくなっちゃうんだから、重症だ。
……っていうか、付き合ってからなんとなくかっこよくなった気がする。見た目も中身も。
「衣沙、イルカのジンクス知ってる?」
「知ってるよ。
それも、なるみが好きそうだなって思ってた」
さすがだ。
当たり前のようにそうやってわたしのことをわかってくれてるのも、衣沙だからなんだと思う。
「わたしのこと一番よくわかってるのって、
間違いなく衣沙だと思うの」
「俺のこと一番わかってんのも、なるみじゃん」
「……ちゃんとわかってるかな?」
衣沙はわたしのこと分かってくれてるんだ、って態度で示してくれるけど。
わたしは衣沙のこと、ちゃんと分かってるんだろうか。