【完】姐さん!!
◇
「ふふっ、しあわせすぎる」
「うん、しあわせそうな顔してるもんな」
水族館でのんびりデートして、お昼ご飯を食べて、今度は約束していたパフェ。
カップル限定のパフェクーポンなんてめずらしいなと思ってたんだけど、どうやらパフェにも特徴があったらしい。
ハート型のチョコレートに、メッセージつき。
好きな文字が入れられるから誕生日や記念日に来る人が多いみたいだけど、わたしたちの場合は特に何の日でもなく。
「じゃあ、これでお願いしていいですか?」と。
衣沙が紙ナプキンにさらさら文字を書いて店員さんに渡したかと思えば。
出てきたパフェのチョコレートには『初デート記念』の文字。
直接言うのが恥ずかしいから書いて頼んだらしい。
なにそれかわいい。
甘いセリフはさらっと言うくせに、わたしが不意打ちで「好き」って言ったりすると、衣沙はたまに照れるし。……それすらずるいと思う。
「衣沙って意外とこういうのやってくれるよね」
「こういうのって?」
「記念、とか。
……男の人って、あんまり記念日とか気にしてないって言うから」
衣沙も気にしてないと思ってた、と。
言えば彼は、甘く目元を細めてわたしを見る。
「なるみにだけだよ」
「っ、」
「なるみのこといつでも喜ばせたいし、笑った顔見たいから。
喜んでくれるならこんなのいくらでもやるよ。……我ながら、引くぐらいベタ惚れだし」