【完】姐さん!!
【デートその後】
「でね、衣沙が、」
「……姉ちゃん。
初デートがそんなに楽しかったなら、俺じゃなく衣沙兄に直接言えばいいよ」
「だって……
はしゃいでるの知られたくないじゃない」
「なにそのプライド」
帰ってきて夕飯を終えたかと思うと、俺の部屋に押しかけてきた姉ちゃん。
そんな嬉しそうな顔してるのに、こんなに俺に話してくるくせに、そのプライドの違いがよくわからない。
「ってか、次のデートは家でするの?」
勉強してる俺の部屋のベッドに、無防備に寝転んでるし。
……この危機感のなさ、本当に苦労ものだよね。さすがに姉ちゃん相手にどうこう思わないけど。
「え、なんで知ってるの?」
「衣沙兄から聞いたから?」
「……衣沙が、わたしがなるせと仲良しだからなるせに妬くって言ってんだけど。
衣沙となるせの仲の良さも大概じゃない?」
「バカップル揃って俺に嫉妬しないでよ」
お互いめちゃくちゃ好きなくせに。
浮気の心配なんてないぐらい好きなくせに。
「姉ちゃんが『初デート超楽しかった』って言ってたって衣沙兄に連絡しておこうっと。
あ。……衣沙兄は、『お家デートで俺が手を出すのって不可抗力じゃねえ?』って言ってたよ」
ほんと、わざわざ俺を通すのはやめてほしい。
……まあ。しあわせそうで、何よりだけどね。