【完】姐さん!!
03 ◆ だから、俺のだって
◆
「なあ、あの先輩超美人じゃね?」
「やべー。
でも隣のイケメン、彼氏じゃねーの?」
「マジか。
でも美人と関係持てんなら、ぶっちゃけ彼氏いても良くね?」
歩いていれば、ふいに聞こえてくる男同士の会話。
会話の内容からして間違いなく俺となるみのことだっていうのは分かって、下心の孕んだ会話に、思わず舌打ちしたくなる。
「なるみ」
「ん?」
会話が聞こえていなかったのか、それとも聞く気がないから聞いていないだけか。
不思議そうに見つめてくるなるみの瞳に自分だけがうつっているのかと思えば、とんでもなく優越感。
だけどその瞳が向く先は、俺じゃない。
「スカート短い」
「……みんなこれくらいでしょ。
ウチの学校は校則なんてあってないようなものなんだから、」
「短い」
「去年と変わってませんけど」
察しろ、ばか。
自分が男からどんな目で見られてんのかって、16年その容姿で生きてるんだからいい加減自覚して欲しい。
そのたびに、俺がどれだけ神経をすり減らしているのか、どうせなるみは知らないんだろうけど。
……余計な虫がついたら困るんだから。