【完】姐さん!!
「……ん。
兄貴も満月ちゃんもお酒好きだからワインとか、って思ったけど、それは俺らじゃ買えないし」
「……そうね。
衣沙の私服姿なら大学生に見えなくもないけど」
疑われて年齢確認されちゃったら買えないし。
両親に頼んで買ってきてもらうのでもいいけど、どうせなら自分たちで買ったものを渡してあげたい。
「だから、ワイングラスか……
ティーカップとか、食器とか?」
「んー……
先に決めなきゃ永遠に決まらなさそうね」
グラスもカップもいいけど、お皿なんかも良さそうだし。
一応見て回るのもありだけど、先にある程度決めておかなければ決まらないだろうなとふたりで話し合っていたら。
ふいに衣沙が、小さく吹き出すように笑う。
「……なに?」
「いや、なんか、すげえ真剣に話してるから何も悪くねえんだけど。
話の内容だけなら、まるで俺らが結婚するみたいだなと思って」
結婚したらどれがよく使ってもらえるのか。
そう考えると、自然と会話の内容はそれっぽくなる。確かに、言われてみればそうだけど。
「……なるみはドレス似合うだろうな」
「褒めても何も出ないわよ。
でも満月ちゃんは間違いなく似合うと思う」
「ああ、絶対似合う。
……って、兄貴が何回も言ってた」
衣那くんだけじゃなくて、衣沙もそう思ってるんでしょ、とは。
思ったけれど、言わずに心の中にとどめておく。