【完】姐さん!!
「っ、だからもうわたしのこと慰めてくれなくて良い」
「え? は……?
や、ちょっと待てよ、それじゃあ、」
「わたしが一方的に裏切る形になって申し訳ないけど……!
とにかくそういうことだから……!」
「はあ!? ちょ、なるみ……!」
何がそういうことなのかは自分でもわからないけど。
ただただ衣沙の前から逃げ出したくて早口でまくし立てると、そのまま空き教室を飛び出す。
授業中だから、教室には、もどれない。
追われるかと思って一度振り返ってみたけど、衣沙が追ってくることはなかった。さすがは女の子を口説く以外に動こうとしない省エネ派。
悩んだ末にダメもとで校舎を出たら、校門は開いていて。
普段はいくらサボろうと途中帰宅なんてしないけど、今日だけだと言い聞かせて、学校を出た。
……財布とスマホは持ってるし、なんとか、なる。
でも家に帰ったらお母さんはいるから何か言われるだろうし、サボれる、場所。
「あ、」
そうか、霧夏のたまり場に行けば良いのか。
あの場にいるメンツも大概サボリ魔が多いから、誰かしらいるかもしれない。もちろん褒められたことでは無いんだけど。
とりあえずお昼を買ってから行こうと早々に決めて、コンビニに向かう。
陳列棚を見て何を食べようかと悩んでいたら、うしろで誰かが「あ」と声を発した。
……「あ」?
「ああ……! このあいだの……!
えっと、ニナ、さん?」
お花見で出会った、舞ちゃんのお兄さんのおともだち。
たしか冬霞の人なんだっけ?と頭で考えていたら、そう、と頷いてから「ひとり?」とまわりを見やる彼。