【完】姐さん!!



「っ、だからもうわたしのこと慰めてくれなくて良い」



「え? は……?

や、ちょっと待てよ、それじゃあ、」



「わたしが一方的に裏切る形になって申し訳ないけど……!

とにかくそういうことだから……!」



「はあ!? ちょ、なるみ……!」



何がそういうことなのかは自分でもわからないけど。

ただただ衣沙の前から逃げ出したくて早口でまくし立てると、そのまま空き教室を飛び出す。



授業中だから、教室には、もどれない。

追われるかと思って一度振り返ってみたけど、衣沙が追ってくることはなかった。さすがは女の子を口説く以外に動こうとしない省エネ派。



悩んだ末にダメもとで校舎を出たら、校門は開いていて。

普段はいくらサボろうと途中帰宅なんてしないけど、今日だけだと言い聞かせて、学校を出た。




……財布とスマホは持ってるし、なんとか、なる。

でも家に帰ったらお母さんはいるから何か言われるだろうし、サボれる、場所。



「あ、」



そうか、霧夏のたまり場に行けば良いのか。

あの場にいるメンツも大概サボリ魔が多いから、誰かしらいるかもしれない。もちろん褒められたことでは無いんだけど。



とりあえずお昼を買ってから行こうと早々に決めて、コンビニに向かう。

陳列棚を見て何を食べようかと悩んでいたら、うしろで誰かが「あ」と声を発した。



……「あ」?



「ああ……! このあいだの……!

えっと、ニナ、さん?」



お花見で出会った、舞ちゃんのお兄さんのおともだち。

たしか冬霞の人なんだっけ?と頭で考えていたら、そう、と頷いてから「ひとり?」とまわりを見やる彼。



< 95 / 263 >

この作品をシェア

pagetop