【完】姐さん!!
「衣沙……が、一応、トップで……
わたしはただ、腐れ縁なんだけど、いい加減な衣沙の代わりに霧夏に通ってたらそうなったっていうか……」
「仲良し?」
「うん、仲は良い……けど、」
カルボナーラは美味しいと思うけど、わたしの意識はまるでそっちに向かない。
衣沙のことで頭がいっぱいで、どうしようって疑問だけで埋まってる。スマホの電源も切っちゃったし。
「いま気まずくって……」
言われてみれば霧夏以外のメンツはわたしと衣沙が本当に付き合っている訳ではないことを知らないし、仲良しのさおはわたしを好きでいてくれてる。
となれば、衣沙への気持ちを話せる相手がいない。
いつもは衣那くんと電話で話すけど、向こうは社会人で忙しいからあんまり時間も取れないし。
だからこそ、思わず話したくなっちゃったのかもしれない。
「もともと付き合ってるわけじゃなくて、」
「は? 結構ベタベタしてたのに?」
「や、うん……距離近いからよく間違われるんだけどほんとはそうじゃなくて……
衣沙にはお兄ちゃんがいて、」
付き合っているフリをしていることやら、衣那くんを好きだって言いながら衣沙に片想いしていることやら、とりあえずぜんぶ話した。
みんな話を聞いてくれるから、つい。
「で、もう衣沙のお兄ちゃんのこと好きじゃないから、って宣言したんだけど……
気まずくなって、学校抜けてきたの」
どうしよう、と、頭を抱える。
家に押し掛けられたら逃げ切れないし、なるせに協力してもらうしか手立てはない。
……明日どころか、すでに今日を乗り切れるのかどうかが不安だ。
どんな顔で衣沙と向き合えっていうの。