風の歌
そのころ...
「本当にこんな所に「あれ」があんのかよ…」
「日和が言ってたんだからあるはずだ」
黒服を身にまとった2人の怪しい男が、深夜、海里達の通う学校で何やら話合っている。
「確かこの辺りだったはず」
「もしなかったらあのチビぶっ飛ばすぜ!」
「そしたら空に殺されるぞお前…」
トントンと地面を機械みたいな物で叩いてみる。
すると、地面が少し白と黒に光った。
「ほらあった」
「…ちっ」
舌打ちをする男。
「おい…あったんだから舌打ちするなよ」
やれやれといった感じに言う。
舌打ちをした方の男は、後ろを振り返った。
「ひぃっ!」
「あ
何ビビってやがんだよ」
「す…すみません!」
「おい、失礼だぞ…」
ごんっ!!と鈍い音が響いた。
「ってぇ!」
舌打ちをした男はもう1人の男に「ゲンコツ」をくらわされ、地面にしゃがみ込んだ。
「すみません「校長先生」‥こいつ短気なもんで…」
申し訳なさそうにおじぎをする男。
「はぁ…そうなんですか」
「短気じゃねぇよ」
その声にまたビビる校長。
長い溜め息をつくと、もう1人の男は校長を真剣な顔つきで見た。
「とりあえずここに「あれ」があるのを確認したので、今から工事を開始します。おそらく長引くと思うので、外での授業は今日はやめていただきたい」
頷く校長。
「他の先生方にもこの場所には誰1人として近付かぬようお伝え下さい」
「わかりました。生徒達にも近付かぬよう伝えます」
校長はその場から離れようとした。
「…あ、校長先生」
ピタッと動きを止める校長。
「わかっていると思いますがくれぐれも、このことは他人に口外しないようにお願いします。もし口外すれば、我々はあなたをこの世から抹殺しますので」
鋭い目付きで校長を見た。
「…私も自分の命は大事ですので、そんな大それた事は致しませんよ。ご安心下さい」
平静を装って答えたものの、校長の額には冷や汗が流れていた。
「よし、じゃあ始めるか」
「…ああ」