風の歌
第②章
=馬鹿と仏頂面=
海里を乗せたヘリは、国の都市部を離れ薄暗い森の中に向かって行った。
研究所って、こんな遠い所にあるんだ…?
窓から外の風景を観察する。
大きな黒い鳥の群れが、ヘリを追い越して行った。
「……」
何か気味悪い所だなぁ…
とか思っていると、いきなり頭をこづかれた。
「いたぁっ!!」
頭を押さえる。
「…んな痛くないだろ…」
頭をこづいた男を睨む海里。
「何で叩くのよっ!!」
「呼んでも反応しないからだ」
…はぁ!?
反応しなかったからって普通初対面の人をいきなり叩く?
「…それと、「叩いた」んじゃなくて「こづいた」んだ、馬鹿」
「ばっ…!」
馬鹿ですと!?