風の歌
「…さて今回の報告を聞こうか」
テーブルの上に置かれたカップを手に取り陽と星に目を向ける。
「日和の言う通りだったしょぉ?その人ARMSの気配するもん」
女の子は嬉しそうに海里を見て言った。
ARMSの気配?何それ?そんなの分かるもんなのかな。
「………」
何を言えば良いかわからず黙ってしまう。
「ああ、大当たりだったよ。学校にはARMSが眠ってたし海里ちゃんはARMSの共鳴者だった!」
「本当?やったわね!」
微笑む女の人。笑顔もとても綺麗である。
「名前は何て言うのかな?」
「ももっ、桃原海里です」
何故か緊張しどもってしまった。
「じゃあ海里ちゃん、ARMSをちょっと見せてくれるかい?」
「はいっ」
ヴァンナーとメルフェンサーを取りだし、テーブルの上に置いた。
「2つ?」
ARMSを手に取る空。じっくりと観察する。
「…」
2つって…ARMSって普通は1つなのかなぁ?でもヴァンナーとメルフェンサーは2人で1つかもだし…
何だか不安になる。
「………」
その様子を相変わらず仏頂面で見ている星。
「ふむ…。このARMSは2丁銃と言ったところかな?」
ARMSをテーブルに置く。
「ARMSの名前は?」
「「ヴァンナー」と「メルフェンサー」です」
「…名前、2つなの?」
「?…そうです。こっちの白いのがメルフェンサーで黒いのがヴァンナーです」
「……」
何か考えている空。
…何?名前2つじゃ駄目なの?
黙ったまま空を見る。
「どうやら、君のARMSは皆のと少し異なるようだ」
ズレかけた眼鏡を左手の人差し指で直す。
「異なるってどこがですか?」
「皆、自分のARMSを出してくれるかい?」
陽、星、女の人はテーブルの上にARMSを置いた。
あの人も共鳴者なんだ。
「この通り皆のARMSは1つなんだ」
3人のARMSを指差す。
刀・銃・ナックルの形をしたARMSである。