風の歌
「見ての通り、陽と星のARMSは1つだから、名前は1つだよね?」
「はい」
「じゃあこのARMSを見てくれる?」
グローブの形をしたARMSを見る海里。
「このARMSは何個だと思う?」
…どう見たって2つだと思うけど。
「2つですか?」
「そう思うよね?…だけど違うんだ。このARMSは1つなんだよ」
「え!?どう見たって2つじゃないですか!」
驚いて声が大きくなる。
グローブは右と左で合わせて2つじゃないの?
「それがね、このARMSの名前は1つなんだ」
「私のARMSは、2つ合わせて1つのARMSなのよ」
女の人はお茶を一口飲んでから言った。
「だから最初は海里ちゃんのARMSも、2つで1つのARMSなのかなって思ったんだ。だけど、そのARMSは2つとも名前がある」
ヴァンナーとメルフェンサーを見る海里。
「海里ちゃんのARMSは、それぞれ別々の物なのかもしれない」
「…別々って、普通は1人の共鳴者につき扱えるARMSは1つなんだろ?それって変じゃないか?」
陽が首を傾げながら言った。
「そう。変なんだ。だから海里ちゃんのARMSは、皆のと異なるんじゃないかって」
異なる?ヴァンナーとメルフェンサーが?他の人のARMSとどこが違うの?
「ヴァンナー、メルフェンサー、あなた達は他のARMSとは違うの?」
『そんなことはない。違うところは特にないぞ?』
『確かに海里は私達の共鳴者よ。』
「そう…。わかった」
空は海里を凝視した。
「今、何したの?」
「ARMSと会話してたんだとよ」
何故か星が答える。
「会話!?ARMSと…?」
「俺も最初聞いたとき驚いた!」
嬉しそうに言う陽。
「そんなことができるのか…?」
信じられないと言わんばかりの表情の空。
「あたしも初めて知った…」
女の子も驚いている。
「日和が知らないなら、空に分かるわけないわわけないわねぇ」
お茶を飲みほす。