風の歌
「はぁ?そんなのそこの馬鹿にだけ言えばすむだろ?俺にまで自己紹介してどうすんだよ…」
「良いでしょ別に!星は黙って聞いてればいいの!!」
「……はぁ」
やれやれと言わんばかりの顔をする星。
「私は水樹月(みずきゆえ)って言うの。改めてよろしくね、海里ちゃん!」
腰まで伸びたサラサラな黒髪を、瞳と同じ色のワインレッドの髪飾りで結んでいる。
誰から見ても文句なしの美人な女性である。
「ちなみに陽は私のものだから、手出したら、ただじゃおかないからね?」
笑顔で言うのがなんとなく怖い。
「付き合ってたんですね!」
だから親しげに話してたんだ〜
にやにやしながら陽を見る。
「おい月…余計な事言うな…」
恥ずかしそうにする陽。照れているようだ。
「私のことも、陽って言ってるみたいに呼び捨てしてね!」
「じゃあ私のことも、呼び捨てして下さい!」
「わかったわ♪」
笑顔で頷く。
「日和もぉ!!日和のことも呼び捨てして!!」
ガシッと海里の腕を掴んだ。
「あたし、日和(ひより)って言うの!仲良くしてね!!」
珍しいピンク色の髪をした日和は、背が150cmぐらいの小柄な女の子。
可愛いなぁ。妹みたいな子だな。
「わかった。日和って呼べばいいのね?これからよろしく!」
「よろしくぅ♪」
えへへと嬉しそうに笑う日和。
「…あの馬鹿女、絶対に日和は自分より年下だと思ってるよな」
星がボソッと陽に言う。
「しょうがないだろ…あの見た目だからな。喋り方も子供っぽいし」
「ふっふっ‥日和はそこが良いんだよ…」
にんまりとしながらお茶をすする空。
「…空、そのお茶何杯目だ?」
「ん?9杯目〜」
2人は飲み過ぎだろ‥と思ったが、あえて口に出さなかった。