風の歌
「…月、嬉しそうだったね」
「海里ちゃんを妹みたいに思ったんじゃないか?ここじゃ、女で1番年下だったのは月だからな」
腕を組む陽。
「あんな妹いらねぇだろ…」
「じゃあさぁ、あんな彼女は欲しい?」
にんまりしながら日和が言った。
「んなもんいらねぇよ。俺達は遊んで暮らしてるわけじゃないんだぜ?」
「…それもそうだけど、海里ちゃんって結構可愛いよな」
「月が聞いたら怒るよ〜」
「それは勘弁だなぁ‥」
笑い合う陽と日和と空。
何が楽しいんだか…
どうでもよさそうに3人を見る星。
「……これで、現時点のARMSは5個か…。まだまだ少ないね」
眼鏡をはずし、かけ直す。
「ああ‥他国はどのくらい発見したんだろうな?」
「そんなの四季が戻って来ればわかるじゃん!」
星は黙って3人の会話を聞いている。
…ん?そういやあの馬鹿女の名字……どっかで聞いたことあるような…。
桃原だったよな?…いつだったか‥まだガキの頃にどこかで聞いたことがあったような…
「…なぁ、空達はあの馬鹿の名字に聞き覚えないか?」
「海里ちゃんの名字?」
顔を見合わせる日和と陽。
「…桃原……?わかんないや」
「俺もだ」
「……ん〜?」
顎を人差し指でなでる空。
「空、わかるか?」
「………聞いたことあったようななかったような…。ん〜後で調べてみるよ」
「ああ」
…桃原……何かひっかかるな…
星は思い出そうと考え始めた。