風の歌
言葉の意味はわからなかったけれど、今も生きているのだろうか。
会いたいと強く願う。
「…り?海里ったら!」
風歌の声ではっと我にかえる。
「もう!いきなり黙っちゃって!」
怒る風歌。
「ごめんなさい…」
「…お母さんのこと思い出してたの?」
「…うん。それとお姉ちゃんのことも」
「…」
「何でARMS何て物あるんだろ。なかったら戦争は起きなかったのに」
「……そうだね」
黙る2人。
「風歌は家族は大丈夫なの?誰か戦争に連れてかれた人とかいる?」
「え…」
「…聞いちゃいけなかったならごめん」
「……」
少し考える風歌。
やっぱり聞いちゃ駄目だったのかな?悪いことしたな…
心配する。
「私兄弟いないの。お父さ‥あっ、とっ、父さんも‥母さんもちゃんと生きてるよ」
「良かった」
何か喋り方が変だったけれど、と思いながらも安心する海里。
「でもね…母さんは……」
「え?」
「やっぱり何でもない!!」
海里に背を向ける。
「風歌?」
「じゃあ私こっちだから、バイバイ!」
そう言うと走って角を曲がって行ってしまった。
「…?」
どうしたんだろう?
ぽかーんとする。
でも、初めて風歌の家のこと聞けたな。
何だか少し嬉しくなった。
再び歩きだそうとしたその時
『…海里………気付いて……』
「!?」
突然、回りには誰もいないのに声が聞こえた。
「何今の…」
『早く気付いて…じゃないと……が………に…』
「!!?」
何なのこの声!!
どこからともなく聞こえる声に混乱する。
プップー!
「!!」
クラクションの音に反応し、慌てて車をかわした。
「ビックリした…」
落ち着くと、もう不思議な声は聞こえなくなっていた。
「…気のせいだったのかな?」
頭を人差し指で軽くかく。
「気にしないどこ…」
そのまま家に向かって帰って行った。