風の歌
「…風の国の奴と飯なんか食えるかよ。」
「はぁ!?」
怒る海里を無視してギロリと風歌を睨み、星は部屋から出て行った。
「………」
俯く風歌。
「何なのよあいつ!風歌はあんたに何もしてないでしょうが!!」
切れぎみに言う。
「確かにその娘は私達に何かしたわけではないわ。…だけど、風の国全てが私にとっても、星にとっても憎い存在なのよ。………あんたにも、わかるはずよ」
海里を見ずに言うと、四季も部屋から出て行ってしまった。
「…え?」
ポカンとする。
私にも…わかる?
風の国全てが憎いと思ってしまう気持ちを?
何で?
四季さんは、私の過去を知ってる上で今の言葉を言ったのかな……
空さん達には言ってないのに…
「ごめんね風歌。あの2人…詳しくは教えてくれないけれど、第1次ARMS争奪戦の時に、風の国と何かあったみたいなの」
すまなさそうに話す月。陽も悪い事をした、というような顔をしている。
「いいえ、悪いのは風の国ですから…私が憎いと思われても仕方がありません」
「…」
悲しそうな表情で海里を見る。
「海里…本当はあなたも、私の事を憎いと思ってるよね?……ごめんね…」
その声は、微かに震えていた。
「そんなっ…!私は1度も風歌を憎い何て思ったこと……!」
続きを言おうとしたが、言葉が詰まった。
−−さっきも思った。
≪風の国を憎いと思う気持ち≫は、≪風歌を憎いと思う気持ち≫と同じになるの…?
わからない…
わからないよ……
(海里…)
2人を心配そうに見つめる陸。