風の歌
居候の身である海里は、時々自分がこの孤児院にとって邪魔な存在なのではないかと思う時がある。
確かに海里も孤児の身だが、もう17歳。十分1人でも生きていける。
…もし働いたとしても、学校に払うお金は稼げないよね。他にもいろいろとお金かかるだろうし‥‥
家事を手伝うだけじゃ、駄目な気がする。
おばさん達の負担になってるよ私…
どうすればいい?
恩返しがしたい。
私をここまで育ててくれたおじさんとおばさんに。
そして
陸にも。
その夜は
ずっとそのことについて考えていた。
どうにかしてお金稼げないかなぁ?
やっぱり行動を起こすには資金が必要になってくる。
でも今はどこも不景気だ。停戦状態のままなのでいつ再戦するかわからず、国の人々は物資をあまり消費してはいけないのである。
「はぁ…」
何も案が浮かばないまま
ベッドに転がる。
………申し訳ないよ本当。やっぱりここを出ていくしかないのかなぁ?
すると
コンコンと扉をノックする音。
「!‥はい?」
ドアが開いた。
「ちょっといいか?」
「陸…」