風の歌
=空の決断=
−−風の国
それは、7つの国で唯一階級制度が重視されている、帝国的な大国。
経済力は日・氷・炎の国に並ぶ。
軍事力が強く、第1次ARMS争奪戦を起こした発端の国。
現在の最高権力者は、風歌の父親で、国王である≪緑地嵐(りょくちあらし)≫。
第1次ARMS争奪戦の頃は残忍かつ冷酷的な性格と恐れられていたが、今ではうって変わって温厚で民を第一に考える心優しき国王である。
何故残忍な性格から一変したのかというと、争奪戦の最中に風の国の王妃であり国王の妻であった《緑地快(りょくちかい)》が亡くなった事が関連していると言われている。が、本当かどうかはわかっていない。
ARMSと共鳴者の数は、昔の調べでは2人とされていたが、現在はもっと増えている可能性が高いとされている。
風の国は氷の国と友好な関係にあり、炎・地の国とは敵対関係にある。
場所は空専用の研究室。
既に外は真っ暗で、他の者は寝てしまっている時間だ。
暗い部屋には明るいランプが1つ、机の周辺を照らしている。
「どうするのさ?」
ピンク色の髪をした見た目は少女…日和が、机に散乱している資料を数枚手に取り、4・5時間は資料と睨めっこをし続けている人物に話かけた。
「………」
「まだ悩んでんのぉ?」
「…………ん〜…」
「さっさと決めちゃいなよ〜優柔不断だねホント…まぁ慎重になるのはわかるけどさ」
「……日和はどうしたらいいと思う?」
もうお手上げです的な情けない表情をした空は、資料を机に投げた。
「…風の国……風歌って人の話が本当なら信用してもいいだろうけどさ、昔の行為を振り返ってみると………ねぇ…」
苦笑いしながら言う。
「同盟組めば、有利になるのは見えてるんだけどね」
「共鳴者、5人だったっけ?…だったら12人になるね。でも共鳴者を渡してくれるのかな?」
「そこが問題なんだよね〜」
もう1度資料を見る。
「………ん〜」
「でも今は戦争を終結させようとしてんだよね。そしたら共鳴者を渡してくれるかもだよね?」
「だといいけど…」