風の歌
「ん…あたしはいいと思う。それでARMSを早く回収できるなら」

「日和…言いたい事あるならちゃんと言って」

「やだなぁ〜ないって!」


わざと明るく言う。


「嘘。さっき何か思ったよね」


少し強めに言う空。


「…」


日和は空から視線を反らし、俯いた。


「…あたし、空の意見には従うよ。空が選択する道がいつも正しいって思ってるもん」


弱々しく言う。


「…」

「もちろん今のにも従う。空の意見はあたしの意見。その気持ちには変わりないよ」

「うん」


「……だけどさ、」


言葉を詰まらせる。
微かに日和の体は震えていた。



「あたし、《風真》に会うのが……怖いの…」

「風真…」

「…わかるよね?」

「《風の国の守護獣(ガーディアン)》…だったよね」


頷く。


「何かあったのかい?」

「…うん。でも言えない。ごめんなさい…」

「大丈夫だよ。嫌な事は無理に話さなくていい。…まさか日和を嫌な気持ちにさせてたなんて思わなかった。僕こそごめんね…」


頭を下げる。


「そ、空は悪くないって!」


慌てて空の頭を上げさせる日和。


「それより空!もう3時過ぎちゃってるよ!寝ないともたないでしょ?早く寝なさい!」

「もうそんな時間!?」


驚きながら時計に目をやる。


「ゔわ゙ぁ゙〜今日6時には起きないといけないのに…」

「あたしが起こしてあげるって!」


と笑顔で言う日和の手には鉄バットが握られている。


「あの…まさかそれで起こすつもりじゃないですよね?」

「そのつもりだけど何か問題ある?」


更にニコッと笑う日和の後ろには黒いオーラが…


「いやいや問題ありすぎだからね!?そんなの使って起こされたらというか起こされる前に僕逝っちゃうよ!??」

「ウッセ!さっさと寝ろ!!」

「はい…!」
(日和こんなに口悪かったっけ…?)


気迫に押され足速に自室に帰って行った。








「風真は人間と接触してるのかなぁ…?」

誰もいなくなった研究室で、日和は1人呟いた。
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