風の歌
朝、アリアドネの関係者は全員体育館よりも更に大きなホールに呼ばれた。


そこで、空から『風の国と同盟を組む事と、それまでの経緯について』を聞かされた。


反対する者も賛同する者もいたが、『空の決定だから大丈夫だろう』と最後には皆の意見が合致し、各自仕事に戻って行った。















−−食堂−−



「なんか、いいんですかね?」


納得がいかないような顔付きで、海里は箸に卵焼きを刺した。


「何が?」


口にブロッコリーを放り込んだ月が聞き返す。


「私…風歌が仲間になってくれたのは凄く嬉しいです」


卵焼きを食べる。


「そうね。」


風歌は箸を持つ手を止めて海里を見た。


「だけど、こんなにあっさり全員が承諾するとは思ってませんでした。」

「…」

「だって、星や四季さんのように断固反対の意見の人が他にもいるのが当然ですよね?なのに空さんが決定したことだからと、全員がすぐに承諾したのは何でなんですかね?」
「………」


陸は何も言わない。


星は空の決定に気分を害したようで、「今は飯なんか食べる気分じゃねぇ!」と言って自室に帰って行った。
四季は空の手伝いでここにはいない。


「そうね…海里が不思議に思うのも無理ないわね。」

またブロッコリーを口に入れる。


「…何でなんですか?」

「…」


月は陽をチラリと見た。

お茶を飲んでいた陽は、嫌そうに月を見返した。


「あら、何その反抗的な目は?」


にこやかに喋る。


「…はいはい。言えばいいんだろ?」


仕方ないと言わんばかりな言い方をし、コップを置いた。



「何で皆が簡単に空の決定を承諾したかを知りたいんだよな?」


「はい」


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