風の歌
「海里ちゃんはアリアドネの最高責任者、解ってるよね?」

「…空さんですよね?……あ!だからか…!」

「簡単に言えばね」

「?」


陸も風歌も陽を見る。


「あいつは、アリアドネの最高責任者。だから最後に判断を下す決定者。当然の役割だよな?」

「…はい」

「だけど、例え空が最高責任者でなくとも全員…まぁ星とかは例外として、空の決断に従うはずだ」

「どうしてですか?」


海里より先に風歌が言った。

「《空が決めた事だから》だよ」

「…?」

「つまりあいつへの信頼度がそれほど高いってわけ。全員が空の事を尊敬してるし、信用してる。だから空が決めた事と反対の意見だったとしても、空を信じて従う」

「…」

「ますます納得いかないって顔かなそれは?悪いな、俺説明下手なんだよ」


ハハッと苦笑いする陽。


「そんな事ないです。解りました!」

「俺も納得…」



「絆…」


風歌だけ呟く。


「?」

「信頼と信用で繋がってる絆ですね…お互いを真に理解していないとそんなことできない。凄いです……」

「絆?…確かにそう言われればそうなのかもな」






羨ましい…



心の中で思う風歌。



そんな風歌の気持ちには誰も気付くはずがなく、5人は朝食を食べ終えた。





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