風の歌
−−−出発してから1日と6時間後、ようやく風の国に到着した。
「わぁ…空気がおいしいね!」
「ここが風の国か…」
初めて見る新しい土地の美しさに感動し、辺りを見回す海里と陸。
風の国は日の国とはちがい緑が溢れる自然が多い国で、国の城にも草の蔦やツルが綺麗にのびている。
今いるヘリポートの周囲にもたくさんの植物があり、自分の住んでいる国との違いがよくわかる。
「…」
星は伸びをすると、眉間に浅く皺を寄せ嫌そうに周囲を見た。
「…あ、来ました」
「?」
風歌の声に反応し、指を指した方向を見る3人。小走りで数名程がこっちに向かって走って来ていた。
「姫様!」
「白瀬!」
「白瀬」と呼ばれた男は勢いよく風歌に抱き着いた。
それを目を見開いて見る海里。
「姫様ぁぁ!お久しぶりでございます!懐かしゅうございます!!」
「し、白瀬、わかったから落ち着いて…」
泣きながら抱き着く白瀬をなだめる風歌。
星は物凄くウザそうにその男を見た。