風の歌
「…おい」
黙っていたかと思っていたら急に星は言葉を発した。
「どうした?」
陸が聞き返す。
「………俺は、国王とは謁見しないからな。3人で行って来い」
「はぁ!?何でよ?」
驚く陸と海里とは対照的に、風歌は落ち着いた様子で言った。
「そう言うと思ってました」
「………」
静かに風歌を睨む星。
「…て、え、ちょっと待って!あんた一応リーダーじゃんか!誰が代わりに契約交わすのよ?」
「んなの誰でもできるだろが。そいつだって風の国の人間なんだし心配することは何もねぇよ」
「…大丈夫だよ海里。空さんに渡された契約書あるし、手順なら私もわかるから」
「う、ん…」
「……海里、」
「へ」
いつも馬鹿とかお前としか言わず、「海里」、と名前を呼んだ事のないあの星が、海里の名前を呼んだ事にさらに驚き星以外の全員が目を見開いた。
「…んだよ、一々驚くなっつの」
なんか、こいつに名前呼ばれるの恥ずかしいんだけど…
初めて呼ばれたから?
「ごめん…で、何?」